小鳥遊 遊鳥の裏通り

La Vérité sortant du puits.

2021-01-01から1年間の記事一覧

≪Makoxite≫のようなもの

黒い瞳の国 中島みゆきの「中期」の傑作と言われる『糸』。1998年に放映されたTBS系の金曜ドラマ『聖者の行進』の主題歌として使われたほか、21世紀に入って多くのアーティストがカバーするようになり、昨年には同曲に着想を得た映画までが作られた。個人的…

大艦巨砲主義のようなもの

Accidents Will Happen(じこはおこるさ) 「トーマス」と“Google先生”に打ち込むと、筆頭に掲示される検索結果が「トーマス 機関車」で、次いで「トーマスバッハ」が示されてしまうあたりに、知的劣化が如実に現れていると自認する。もっとも、「コロナに打…

ファイアファイターのようなもの

失楽園 「オーマイガー!オーマイガー!オーマイガー!」と、徐々にオクターブが下がっていくアメリカ人エスタブリッシュメントのリアルな叫びを聞いたのは、この時が初めてだった。2001年9月11日水曜日。雲一つない秋空にそびえるニューヨークの「ワールド…

天竺のようなもの

失われた「約束の地」 非常に不謹慎ながら、「陥落」という言葉には、普段の生活の中では、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルム(商品名「サランラップ」)にぐるぐる巻きに巻いて冷凍保存しているカタストロフィへの暗い渇望と歪んだ憧憬を呼び起こすものが…

マルビナス戦争のようなもの

バンドネオンの調べが聞こえる 今から40年程前に、地球の反対側で起きたマルビナス戦争(フォークランド戦争)を、メディアを通じて当時リアルタイムに見聞きした人も、徐々に少数派となりつつあるようだ。南大西洋の果てに浮かぶ群島の領有権を巡って、旧大…

大きな江の島のようなもの

陰翳礼讃 いわゆる“世界三大がっかり”と言われているブリュッセルの小便小僧、コペンハーゲンの人魚姫、シンガポールのマーライオン。幸か不幸か、実際にこの目で見たことがあるのは小便小僧にとどまっているが、人気と実力の最低水準をある程度「担保」して…

渋谷のようなもの

日沈む国を訪れて… 書棚を整理していたら、30年前の古いパスポートが出てきた。仕事で思いがけずベルリンとブリュッセルに行く用事ができ、当時住んでいた千葉県に申請手続きを行い、発行したことをやにわに思い出した。ちょうど、冷戦の終結でシベリア上空…

パンとサーカスのようなもの

国民の過半が望んでいない、の祭典 国民の過半が望んでいない東京五輪の開会予定日まで、あと1か月と1日。明日からは、通勤経路として毎日使っている豊洲大橋から黎明橋に至る環二通りが2カ月半近くに亘って封鎖され、原則、“ぼったくり男爵”を始めとする大…

創世記のようなもの

はじめに、ことばありき ガイウス・ユリウス・カエサルが、「ブルータス、お前もか」(Et tu, Brute?)という最期の言葉を遺したのは56歳の時だった、と最近知った。奇しくも、同い年ではないか。 これ以外にも、「賽は投げられた」(alea jacta est)、「来た…