小鳥遊 遊鳥の裏通り

La Vérité sortant du puits.

パンとサーカスのようなもの

国民の過半が望んでいない、の祭典

国民の過半が望んでいない東京五輪の開会予定日まで、あと1か月と1日。明日からは、通勤経路として毎日使っている豊洲大橋から黎明橋に至る環二通りが2カ月半近くに亘って封鎖され、原則、“ぼったくり男爵”を始めとする大会関係者の車両のみが通行できる専用道と化す。その「お知らせ」を告げる捨て看板が、環二通り周辺の至る所に建てられている。

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期間中、選手村として使われる予定の建物群は、国民の過半が望んでいないという状況を、治安当局も十二分に認識しているのだろう。放火その他のいたずらがあってはならないと、24時間体制での有人警備が実施されており、選手村のエリアを長々と覗いていると、刺すような視線をガードマンらから浴びることになる。

五輪の選手村を巡る事件としては、1972年のミュンヘン五輪時に起きたパレスチナ武装組織「黒い九月」によるイスラエル選手団らへのテロが記憶に新しいところだが、今回は、何しろ、国民の過半が望んでいない分裂状態の中で迎える隙だらけの大会だ。AK47を使わなくても、サイバー攻撃だけで、相応のダメージを与えることが可能だろうと想像する。

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そうでなくてもこの小さな一角に、身体能力だけはずば抜けた連中が世界中から蝟集し、NYCを上回る濃厚な人種のるつぼが生じるわけで、下手すると、COVID-19を超えるシン・新型コロナウイルスCOVID-21(通称、晴海ウイルス)が誕生してしまう恐れも否定できない。国民の過半が望んでいない黒い祭典に、KAMIKAZE的に突き進む自公政権は、もしそうなった時、どう落とし前をつけるのかしらん。

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そうした中で、ふと蘇ったのが、ジェームズ・キャメロン監督、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『タイタニック』(1997年)において、E・J・スミス船長と、タイタニック号を建造したホワイト・スターライン社のブルース・イスメイ社長との間で交わされた印象的なセリフ。「予定より早く到着すれば、新聞のヘッドライン(一面トップ)を飾れますぞ」とイスメイ社長よりそそのかされ、予想されるリスクに敢えて目をつぶり、船の速度を上げて夜の北大西洋を突っ切ろうとしたスミス船長。案の定、氷山にぶつかり沈むことが避けられないと分かった時、イスメイ社長に返した皮肉だ。

Smith: Well, I believe you may get your headlines, Mr. Ismay.

スミス船長「やれ、一面トップを飾ることになりましたな、イスメイさん」

やがて、東京五輪の関係者の間でも、こんな残念なやり取りがなされることになる、という予測の方に、1億ジンバブエドルでも賭けておくか。