小鳥遊 遊鳥の裏通り

La Vérité sortant du puits.

つい此間のようなもの

Obrigadoが言えなくて… 往年のフランス映画に登場する美男・美女の筆頭格と言えば、アラン・ドロン(Alain Delon)とカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)ということで、昭和世代の異論は少ないのではと思われる。巷間に伝わるところによると、アラン…

Heysei! JUMPのようなもの

勝手にゲシュタルト崩壊しない! 俄かに、若い世代の昭和ブームを語るのがブームらしい。64年に及ぶ当該時代の後半3分の1ほどを経験した身からすると、昭和の醍醐味は、軽工業国家のくせして国としての自我を病的に増長させた挙句、全世界を相手に始めた大戦…

スイス・アルプスの天然水のようなもの

「下水道」は100年前からありき 「やれやれ、またドイツか」との独白で始まる村上春樹の小説「ノルウェイの森」。年末年始の短い休みを利用した蔵書(と語るのもおこがましいレベルなのだが…)の虫干しの最中に、何の気なしに久しぶりに開いたら、最初の数ペ…

セキセイインコのようなもの

痛恨のミス、なり 以前勤めていた会社で、ある時、こんなやり取りがあった。相手は直接の部下ではなかったが、名前と顔はすぐに一致するくらいの間柄だった。彼が同僚と雑談に興じていた最中にたまたま、近くを通りかかった小生に、声を掛けてきた。 「小鳥…

とんがりコーンのようなもの

観光公害の地はわが魂に及び (備忘録として) 先日、「コロナ禍」を挟んで4年ぶりの海外旅行に出かけた。歴史的な円安もさることながら、露西亜の普京が隣国に対して始めた侵略戦争によって原油価格が高騰。これにつられて航空燃料であるケロシンの価格も…

≪Makoxite≫のようなもの

黒い瞳の国 中島みゆきの「中期」の傑作と言われる『糸』。1998年に放映されたTBS系の金曜ドラマ『聖者の行進』の主題歌として使われたほか、21世紀に入って多くのアーティストがカバーするようになり、昨年には同曲に着想を得た映画までが作られた。個人的…

大艦巨砲主義のようなもの

Accidents Will Happen(じこはおこるさ) 「トーマス」と“Google先生”に打ち込むと、筆頭に掲示される検索結果が「トーマス 機関車」で、次いで「トーマスバッハ」が示されてしまうあたりに、知的劣化が如実に現れていると自認する。もっとも、「コロナに打…

ファイアファイターのようなもの

失楽園 「オーマイガー!オーマイガー!オーマイガー!」と、徐々にオクターブが下がっていくアメリカ人エスタブリッシュメントのリアルな叫びを聞いたのは、この時が初めてだった。2001年9月11日水曜日。雲一つない秋空にそびえるニューヨークの「ワールド…

天竺のようなもの

失われた「約束の地」 非常に不謹慎ながら、「陥落」という言葉には、普段の生活の中では、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルム(商品名「サランラップ」)にぐるぐる巻きに巻いて冷凍保存しているカタストロフィへの暗い渇望と歪んだ憧憬を呼び起こすものが…

マルビナス戦争のようなもの

バンドネオンの調べが聞こえる 今から40年程前に、地球の反対側で起きたマルビナス戦争(フォークランド戦争)を、メディアを通じて当時リアルタイムに見聞きした人も、徐々に少数派となりつつあるようだ。南大西洋の果てに浮かぶ群島の領有権を巡って、旧大…

大きな江の島のようなもの

陰翳礼讃 いわゆる“世界三大がっかり”と言われているブリュッセルの小便小僧、コペンハーゲンの人魚姫、シンガポールのマーライオン。幸か不幸か、実際にこの目で見たことがあるのは小便小僧にとどまっているが、人気と実力の最低水準をある程度「担保」して…

渋谷のようなもの

日沈む国を訪れて… 書棚を整理していたら、30年前の古いパスポートが出てきた。仕事で思いがけずベルリンとブリュッセルに行く用事ができ、当時住んでいた千葉県に申請手続きを行い、発行したことをやにわに思い出した。ちょうど、冷戦の終結でシベリア上空…

パンとサーカスのようなもの

国民の過半が望んでいない、の祭典 国民の過半が望んでいない東京五輪の開会予定日まで、あと1か月と1日。明日からは、通勤経路として毎日使っている豊洲大橋から黎明橋に至る環二通りが2カ月半近くに亘って封鎖され、原則、“ぼったくり男爵”を始めとする大…

創世記のようなもの

はじめに、ことばありき ガイウス・ユリウス・カエサルが、「ブルータス、お前もか」(Et tu, Brute?)という最期の言葉を遺したのは56歳の時だった、と最近知った。奇しくも、同い年ではないか。 これ以外にも、「賽は投げられた」(alea jacta est)、「来た…